【下野新聞】地震土砂災害どう避難 回避にハザードマップ活用を:栃木県

栃木県でのハザードマップ、防災マップの整備・活用に関するニュースです。


地震土砂災害どう避難 回避にハザードマップ活用を |下野新聞「SOON」

 東日本大震災で2人の犠牲者を出した那須烏山市神長の土砂災害。大雨による土石流で住民に危害が生じる恐れがあるとして同所は土砂災害警戒区域の指定を受けていたが、実際に起きたのは地震に伴う地滑りだった。気象予報などから事前に避難できる大雨時の備えと異なり、突然発生する地震による土砂災害からどう命を守るか。3・11を教訓とした自治体や住民の対応が求められている。

 県は、急傾斜地の崩壊、大雨で土砂が水と一緒に流れる土石流、地滑りといった土砂災害が起きる可能性が高い危険箇所を調査し、市町の住民説明会などを経て警戒区域に指定する。県内の危険箇所は計6924カ所。2011年度末までに5825カ所の指定を終え、12年度に100%を目指すという。

 指定後、市町は警戒区域や避難場所などを知らせるハザードマップを作成、住民に配布しなければならない。本県では土砂災害が想定される23市町のうち21市町が作成。しかし警戒区域図や情報伝達方法、避難場所といった共通の項目を除くと、市町間で住民に提供する情報量に格差がある。

 大雨時や土砂災害の前兆現象をめぐる対応の記載はある一方、地震発生時の行動を盛り込んだケースは少ない。12市では鹿沼市のみが「がけ崩れが起こりやすい山や急な傾斜地では素早く避難しましょう」と注意を呼び掛ける項目がある。

 大田原市は、地質の強さなどが分かる地震マップも加えた総合防災マップを作成中。那珂川町は「地震は想定外。12年度に見直すマップに地震の対応を入れたい」としている。

 住民の防災意識の向上も重要だ。那須烏山市の危機管理マニュアル策定に携わる京都大防災研究所の畑山満則准教授(43)は「学校での防災教育や行政の広報誌、住民説明会でハザードマップの活用方法を知ってもらうことが効果的」と指摘。その上で「地震が起きた時、土砂崩れの危険がある場所からはすぐ逃げること。住民はもう一度、危険箇所を確認してほしい」と訴えている。